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ユーモレスク/長野まゆみ
60点
死んだ弟の面影を追って。
長野まゆみさんの作品の主人公には少年が多いイメージがある。反して、この作品ではある女性が主人公で作者独特の言葉遊びもあまり見られない。一見すると本当に長野まゆみさんの作品?と首を傾げてしまう。読み進めていくとやはり長野さんらしい展開が待ち受けているのだが、他の作品よりも素直な作品といえそうだ。幼い弟をめぐって隣に住む幼馴染の男性や美青年が登場、喪失感を明るい未来へと変化させようとする主人公とその家族のお話。
独特な長野ワールドが好きな方にはちょっと物足りないと思うかもしれない。かく言う私もその一人。長野さんの少年を登場させ、怪しげな雰囲気とレトロな懐かしさを思わせる世界観は彼女独特と言っても過言ではないと思う。そんな中、今回の作品はあまりそういう感じが見られない。主人公は女性だし、舞台も現代、特に不思議なところはなにもなくある意味、とても素直な作品と言えると思う。
もちろん独特な世界観がないからと言って面白味に欠けるとは思わないが、物足りなさは感じるだろうと思う。
ストーリーは主人公である女性が昔幼い弟を事故で亡くしたところから始まる。湖に学校遠足に行きそのまま行方知らずになってしまったのだ。足を滑らして湖に落ちたのだろうと推測されたが、未だ遺体は見つかっていない。その事故は隣人を疎遠にしてしまう。なぜなら当時幼い弟の引率をしていたのが隣人の長女であり、彼女は男の子ながらも女の子らしい容姿や性格、性癖をもった弟をあまり好いてはおらず、また、自分の弟(隣人には長女と長男の二人兄弟)と非常に仲が良かったからだ。男の子ながら女の子の洋服が大好きで主人公の自分が着ていた服を喜んで着ていた弟。そして隣の長女が弾くユーモレスクが大好きでよく耳を傾けていた。なにはともあれ、事故が起きるまでは隣人同士、兄弟同士身近にいたはずだった。
いつでも帰ってこられるようにと弟の部屋はそのままに、食卓にも一人分多く食器が置かれる。癒えぬ喪失感を胸に閉じ込めた家族が再び隣りに住む幼馴染と親密になる主人公。時を越えて弟の真実が見えてくるサスペンス的な小説。
やはり長野さんの作品。男同士の恋愛模様が描かれている。(長野さんの作品はそれが多い。)
また一味違った長野ワールド堪能した気分でした。ごちそうさま!
『ユーモレスク』
著者:長野まゆみ
マガジンハウス/2003
死んだ弟の面影を追って。
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長野まゆみさんの作品の主人公には少年が多いイメージがある。反して、この作品ではある女性が主人公で作者独特の言葉遊びもあまり見られない。一見すると本当に長野まゆみさんの作品?と首を傾げてしまう。読み進めていくとやはり長野さんらしい展開が待ち受けているのだが、他の作品よりも素直な作品といえそうだ。幼い弟をめぐって隣に住む幼馴染の男性や美青年が登場、喪失感を明るい未来へと変化させようとする主人公とその家族のお話。
独特な長野ワールドが好きな方にはちょっと物足りないと思うかもしれない。かく言う私もその一人。長野さんの少年を登場させ、怪しげな雰囲気とレトロな懐かしさを思わせる世界観は彼女独特と言っても過言ではないと思う。そんな中、今回の作品はあまりそういう感じが見られない。主人公は女性だし、舞台も現代、特に不思議なところはなにもなくある意味、とても素直な作品と言えると思う。
もちろん独特な世界観がないからと言って面白味に欠けるとは思わないが、物足りなさは感じるだろうと思う。
ストーリーは主人公である女性が昔幼い弟を事故で亡くしたところから始まる。湖に学校遠足に行きそのまま行方知らずになってしまったのだ。足を滑らして湖に落ちたのだろうと推測されたが、未だ遺体は見つかっていない。その事故は隣人を疎遠にしてしまう。なぜなら当時幼い弟の引率をしていたのが隣人の長女であり、彼女は男の子ながらも女の子らしい容姿や性格、性癖をもった弟をあまり好いてはおらず、また、自分の弟(隣人には長女と長男の二人兄弟)と非常に仲が良かったからだ。男の子ながら女の子の洋服が大好きで主人公の自分が着ていた服を喜んで着ていた弟。そして隣の長女が弾くユーモレスクが大好きでよく耳を傾けていた。なにはともあれ、事故が起きるまでは隣人同士、兄弟同士身近にいたはずだった。
いつでも帰ってこられるようにと弟の部屋はそのままに、食卓にも一人分多く食器が置かれる。癒えぬ喪失感を胸に閉じ込めた家族が再び隣りに住む幼馴染と親密になる主人公。時を越えて弟の真実が見えてくるサスペンス的な小説。
やはり長野さんの作品。男同士の恋愛模様が描かれている。(長野さんの作品はそれが多い。)
また一味違った長野ワールド堪能した気分でした。ごちそうさま!
『ユーモレスク』
著者:長野まゆみ
マガジンハウス/2003
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